12月10日に讃岐の多度津で「空海の時代を聴く 音楽のシルクロード ~ペルシャから長安・飛鳥へ~」という講演を、土取利行さんと二人でさせていただきます。多度津と言えば空海が生まれたという土地。来年の空海生誕1250年にむけての講座の一環として企画されたものです。
空海といえば延暦23年(804)に唐に渡り、密教の奥義を修めた方。この延暦の遣唐使と、承和の遣唐使(最後の遣唐使)には、何人もの音楽家が乗船し、唐の音楽を伝えたり、帰り道で賊に殺されて帰国できなかったりしています。
密教を伝えて今に至る信仰の道を確立された空海と、唐の音楽を伝え、さらに日本の雅楽として作曲や伝承ができる道筋をつけてくださった先人たちとは、重なるところがあることを、この講座のお話をいただいて再認識いたしました。
延暦の遣唐使としては、久礼真蔵/真茂が「春庭楽」「柳花苑」を、和邇部嶋継が「蘇合香」を日本に伝えたと言います。
『教訓抄』には嶋継が「蘇合香」の「序二帖」部分を帰り道で忘れてしまったために伝えられていないというエピソードが書かれていますが、逆に、序二帖以外は全部覚えて帰ってきたってこと!?と、その記憶力に驚愕してしまいます。
「春庭楽」と「柳花苑」は承和の時に太食調から双調に改められたということで、唐から伝えられた30年位後には日本に合うように手を加えられたのだなあ、とその時代の空気を感じたりもします。
今度1月の伶楽舎公演では「春庭楽」を吹くのですが、海を渡る久礼真蔵や空海さんの姿が頭に浮かんできてしまうかも