上牧・鵜殿ヨシ原の危機 まずはヨシ原焼き実施を!

篳篥のリード(蘆舌)はヨシ(葦)でできています。ヨシはどこにでも生えている草ですが、蘆舌は外径が11mm程の太くて固いものでないと良い音が出ません。古くから高槻市の上牧・鵜殿の淀川河川敷のヨシが良いとされています。
(上とこの下写真は2012年12月に撮影した上牧・鵜殿のヨシ原の写真)
しかし近年、このヨシ原で良いヨシが生えている面積がどんどん減っていることが問題になっていました。
それでも今年の1月頃は必要な分は採れていたようなのですが、今年は刈り取りの3か月も前なのに、すでに良いヨシは全く生えていないとの衝撃の報告がありました。
2021年10月のヨシ
ヨシが生えなかったのではなく、同じ場所に生えているつる草の勢いが強く、絡めとられて倒されてしまったのです。
同じことはヨシ原の他の場所で起こっていたのではありますが、こんなに早く、いつも篳篥蘆舌用のヨシを採取している場所がやられてしまうとは思っていませんでした。
ヨシが全滅してしまったのは、異常気象で夏が暑すぎたなどの理由もあるかもしれませんが、直接的には2年連続で2月にヨシ原焼きができなかったためだと思われます。
2019年のヨシ原焼きの様子
冬にヨシ原を焼くと、雑草の種が焼かれて次の年に芽を出さないといわれているのですが、ヨシ原を焼くと大勢の人が集まるので、コロナ禍で人が集まるのは良くない、という理由で去年も今年もで焼くことができなかったため、つる草が勢いを増してしまったのです。
今年のヨシは諦めるしかないとして、来年はちゃんと育つようにするために、何か手を打つことはできないのか。と考えると、まずはコロナ禍であっても、ヨシ原を焼くことが必須です。
「雅楽だより」を発行している雅楽協議会の鈴木治夫さんがヨシ原焼実施を高槻市に請願するための署名活動を始められましたので、鈴木さんのフェイスブック記事より転載いたします。よろしければどうぞご協力ください。
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ヨシ原焼実施への 署名のお願い
 雅楽の篳篥の蘆舌(リード)に使用する篳篥用ヨシが全滅してしまいました。コロナ禍の中で2年連続してヨシ原焼が出来なかったという理由もあり、このまま放置したとしますと、来年も同じ事が起きるでしょう。(YouTube「篳篥の蘆舌 全滅の危機に -6 今のヨシ原」をご覧ください)
 ヨシ原焼を実施したとしても篳篥用ヨシの再生を確実のものするわけではありません。
しかし、もし来年ヨシ原焼が実施できなかったとしたら、ここのヨシは確実に全滅していくでしょう。
「ヨシは悪くなった。このままいけば全滅する」と50年も前から言われ続けてきました。
篳篥用のヨシは全滅しており、このままでは、雅楽が滅亡してしまうという歴史的な瀬戸際です。
このまま手をこまねいていたら1000年続いた雅楽を私たちの世代で滅亡させてしまったということになります。もう時間がありません。
神社仏閣での式楽も、芸術音楽としての雅楽も、1000年続いた世界に誇れる人類の財産である雅楽も後世に伝えることが出来なくなってしまいます。
ですから、私たちは1000年伝えてきてくれた雅楽の先輩たちに恥じないように、これから1000年先の後輩たちに伝えていけるように、篳篥用ヨシの再生に向けて全力で取り組んでいきたいと思います。
ヨシ原焼の署名(高槻市へ提出)と、来年春から予定します「つる草抜き」にご協力いただけますよう宜しくお願いいたします。(「つる草抜き」の準備を進めていますが、日程などはまだ未定です)
署名について
 ※署名は、
○団体、雅楽会などもお願いします。
○個人は本人の自筆は不要です。
賛同された雅楽会の方も是非個人の名前でも賛同の署名をお願いします。
電話、メール、faxでも受け付けます。
「肩書」がありましたらその記載もお願いします。
☆賛同される方は、取りまとめをされている方、又は下記へお願いします。
署名 第1次締切り 2021年10月29日(金)
 賛同者申し込み先・お問合せ
雅楽協議会 ℡ 042-451-8898 fax 042-451-8897
    メール gagakudayori@yahoo.co.jp
   又は担当 鈴木治夫のメール
 以下 高槻市へ提出のお願い文
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ヨシ原焼の実施に向けてのお願い
高槻市殿
             雅楽協議会
 雅楽の篳篥の蘆舌(リード)は、高槻市にあります上牧・鵜殿ヨシ原のヨシが使用されてきました。そして毎年、多くの皆様方のお力により、ヨシ原焼が行われておりますことは、私たち雅楽の関係者も心より皆様のご苦労に対し心より感謝の意を表します。まことにありがとうございます。
そのような中で昨年2020年2月16日、ヨシ原の入会権を持たれております「上牧実行組合」及び「鵜殿のヨシ原保存会」の皆様に、長年にわたりヨシ原を守り篳篥用のヨシを採取してくださいましたことに対し感謝の集いを開かせていただいたところでございます。
 この感謝の集いの直後より、コロナ感染症が拡大し緊急事態宣言が出され、ヨシ原焼が中止となりました。今年2021年の2月も緊急事態宣言が出され、ヨシ原焼の中止となりました。
 来年の2月もコロナ禍が収まらず感染拡大の予想も出されています。篳篥用ヨシの全滅の中、もし3年続けてヨシ原焼が中止されたとしますと、篳篥用ヨシの再生は望めないのではないかと思えます。
ですので、コロナ禍であったとしても見学者への自粛などの対応を行い、ヨシ原焼を実施していただきますようお願いする次第です。
 また、雨になりましても日程の変更、や追加などできないものでしょうか。或いはヨシ原焼の場所を特定するなどして、その場所だけでもヨシ原焼を実施することは出来ないでしょうか。来年はヨシ原焼を実施していただけますようお願いする次第です。
もし3年続けてのヨシ原焼の中止が起きたとしますとその影響は計り知れません。
 篳篥用のヨシは全滅しており、このままでは、雅楽が滅亡してしまうという歴史的な瀬戸際です。雅楽の関係者もご協力できますことは何でも協力させていただきたいと思っております。
また今後は、ヨシ原の再生に向けて雅楽関係者も全力で取り組む覚悟でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。  2021年11月
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以上、鈴木治夫さんのFB(20+) 鈴木 治夫 | Facebookからの転載

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