山口恭子作曲「発光素」がYouTubeに

今年(2020年)2月にデュッセルドルフの恵光ハウスにて演奏しました、山口恭子作曲「発光素」がYouTubeアップされました。
演奏は、笙が石川高、篳篥が中村仁美です。

「発光素」という曲名について、山口恭子さんが次のようなコメントを書いてくださっています。

「6月の終わりから7月始めにかけて、ドイツの森ではたくさんの蛍を見ることが出来る。毎年この時期には、蛍を見るため好んで夕暮れ時に森へ散歩へ向かうのだが、ある時ふと、蛍はなぜ光るのだろうと思い、調べてみると、蛍やイカなどの持つ光の素(ルシフェリン=発光素)が、同じく体内にあるルシフェラーゼという酵素と酸化反応を起こして光るということがわかった。そういう光の「素」が篳篥と笙にもあって、化学反応が起きたら…それぞれの楽器が光を発したり、お互いに呼応しあって光ったり…蛍がぼんやり光ってはすうっと消えたり、だんだん光が強くなってぴかぴかと強烈な光を発したりする、その様々な様子を想像しながら曲を作った。ルシフェリンとルシフェラーゼが反応するように、篳篥と笙が反応して光る音の世界が現れることを願う。」

この曲は2016年に篳篥リサイタルをした時に委嘱しました。初演を終えてから、これは是非いつか再演したいものだと思い続けていましたが、山口恭子さんが住んでいらっしゃるデュッセルドルフで再演できたことは大きな喜びです。

また、この時のツアーでご一緒だった舞踏の加賀谷早苗さんがビデオに収めてくださったお陰で、皆さんに公開することが出来たことも嬉しいことです。

山口恭子さんが篳篥の弱音の魅力を最初に引き出してくださったのは、2010年にミュージックフロムジャパンの委嘱によりニューヨークで初演された「Wurzeln (根)」という曲でした。チェロ、ピアノ、打楽器、篳篥の4重奏によるこの曲の演奏も下記のsoundcloudから聴けます。

 

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