増本伎共子作曲「古代歌謡の旋律によるパラフレーズ」のこと~葦の風no.7

「雅楽へのアプローチ」「雅楽入門」等の著作もある増本伎共子先生は、作曲家でありながら、雅楽への深い関心を持っていらっしゃいます。

雅楽の楽器のための作品としては「嬉遊楽~雅楽鑑賞入門」「博雅の生まれた日に・・・」「古代歌謡の旋律によるパラフレーズ」などがあり、また雅楽の旋律を西洋楽器に移した曲も「フルートソロのための「乱声」」「ヴィオラ・ダモーレのための朗詠」などがあります。

篳篥の不器用さも十分わかったうえで、現代奏法に次から次へ挑ませるこの曲ですが、モチーフは古代歌謡。雅楽・篳篥のお稽古にも通われたという増本先生でなければ書けない曲です。

作曲者による曲目解説に書かれた下記の言葉は、そのまま私の願いでもあります。

「篳篥でも、こういうこともああいうこともできます」というアピールの他に、「篳篥ならでは」の表現もアピールしたかった。(中略)「ああ、篳篥っていいなあ・・・」と聴き手に思っていただけるような瞬間を目ざして…。

 

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