小指・薬指を握ること

左舞講座の受講生の方が、「舞の時に小指、薬指を握るのは、装束の袖が落ちないように持っているんだと思っていましたけれど、それだけじゃなくて、小指を握ることで動きがよくなるんですね。それを意識し始めて動きが変わりました。」という。

え?小指を握ることが体全体の動きと関係しているの?

目からうろこ。

「武道でも小指を握るとよい、っていうみたいです。」
小指薬指を握ると、あらゆる動作を行うことが楽になり、力を抜くことができるのだとか。

 小指薬指を握りながら反対の手で上腕を触ってみると、腕の裏側の筋肉が動きます。そして脇の下、そして脇周りの筋肉が働いて、最後に背中=身体の後面が働くのだそうです。

これら裏側の筋肉が働くと肩関節のあそびが少なくなり、姿勢がぶれにくくなる!
逆に親指と人差し指を握ると腕の表側の筋肉が動いて力こぶができ、身体の前面が動くといいます。

実際に、小指側を握って腕を上げるのと、親指人差し指を握って腕を上げるのと、試してみると感覚が大いに違います。
確かに、小指側を握ったほうが、スムーズに伸び伸び大きく動けて、こわばりがない。親指人差し指を握ると、肩や腕に力が入ってこわばる感じがします。
試しにどの指も握らずに腕を上げると、なんとも頼りなくふわふわした感じ。

こんなに違うとは!

そういえば雅楽では舞の時だけでなく、鞨鼓のバチを持つ時も、人差し指側ではなくて、小指側を締めて持ちますね。

普段の生活でも無意識のうちに小指側を締めるくせがついていて、傘をさす時も小指側に力を入れて握っていましたが、理にかなっているみたいです。
歩くときも手の小指を締めて歩くと体が左右にブレなくなって疲れないそうですし、重いものを持ち上げる時にも小指側を意識すると広い背中の筋肉が働くので力が出るのだとか。

この小指の不思議を教えてくださった左舞講座受講生方は、舞を舞い始めてしばらくして、小指を意識するようになったことで、姿勢が真っすぐにのびて以前よりしっかり動けるようになったそうです。

無意識のうちに実践していることにも、実は深い意味があったのですね。

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左舞講座は、隔週日曜日 15:00~16:30@朝日カルチャーセンター新宿
https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/a0e78eef-21ab-4169-1798-5bbdd32cef14

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