始原楽器 アウロス = 双篳篥 

旬刊音楽舞踊新聞 始源楽器の演奏会MG_20141029_182515 サントリー芸術財団主催の「サマーフェスティバル2014」、私は8月22日の始原楽器の進行形と、28日のシュトックハウゼン「暦年」で演奏させていただきました。
始原楽器の演奏会の様子が、「旬刊音楽舞踊新聞」10月15日号に紹介され、西陽子さんのアングルハープと私のアウロス(?)で演奏した、川島素晴作曲「アウロスイッチ」の演奏写真が掲載されていました。記事の中で、アウロスではなく「双篳篥」と書いてくださっていたのを見て、やっとしっくりきました。
苦労を重ねて本番にこぎつけたアウロス=双篳篥。シングルリードバージョンとダブルリードバージョンのヨシ笛を何本も試作しても、思うような音色や音程が得られずに、本番のステージに上るまで四苦八苦しました。
その分、音が出る喜び、それをコントロールするすべを発見していく喜び、そこから音楽を紡ぎだすわくわく感は完成した楽器を演奏していてはとても得られないものでした。当然のように安定した音がでる現代の楽器は、なんでもできるけれど、それをただ当たり前のものとして疑わないでいると、音に対する畏怖や喜びといった根本的な何かを忘れてしまっていやしないだろうか、と自戒を込めて思います。
自然の素材と自分の手で器を作り、息を込めて音を生み出す、原始的で個人的でここにしかない、音作りと音遊びをさせていただいた一夜でした。

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