ドゥドゥクを知って30年余りのあれこれ


雅楽の篳篥奏者である私が、ドゥドゥクを初めて知ってからこれまでの足取りをちょっと書いてみます。
先日、土取利行さんに1992年にいただいたという箱書きのあるジバン・ガスパリアンのカセットテープ
を見つけました。
この年にメイを習いにトルコに行くにあたり土取さんに相談をしたりしたので、その時いただいたのかなと思います。このテープをきっかけに、私はドゥドゥクを知ったのかもしれません。
ドゥドゥクの音色があまりに素敵で、その後CDを何枚も買って聞き込みました。
一度ガスパリアンの来日公演を聴きに行ったこともあります(池上本門寺での土砂降り雨の中の野外公演!)。
一度ガスパリアンの来日公演を聴きに行ったこともあります(池上本門寺での土砂降り雨の中の野外公演!)。
楽屋でガスパリアンやそのお弟子さんたちとお話できて
大興奮しました。この時樹脂製篳篥をガスパリアンさんに差し上げたのだけれど、吹いてくれたかなあ~

(写真は左からメイ2本、ドゥドゥク3本、バラバーン2本、大篳篥、篳篥)
甲高くて強烈な篳篥の音色とは全然違う、まろやかで深い低音。ほぼ同じ姿でサイズが違うだけなのに。
吹いてみたかったけれど、でも当時はドゥドゥクを入手する手段がなかった。
吹いてみたかったけれど、でも当時はドゥドゥクを入手する手段がなかった。
手元にあるトルコのメイで何とか吹けないか試してみたものの、音が合わない。録音からだけでは指使いもわからない。そのまま諦めていました。
しばらくするとインターネットで楽器が買える時代になり、「民族楽器専門店トーザイ」でドゥドゥクを販売していることに気づいて注文購入したのは何年頃だったのか。
さらにFacebookなる人をつなげるツールもできて、2013年にFB友達がドゥドゥク奏者Mher Mnatsakanyanさんを紹介くださり、メッセージを交してリードの扱い方を訊ねたりもできるようになりました。
ドゥドゥクを本番で始めて吹いたのは、2016年7月22日の篳篥リサイタル。「胡飲酒序」を「胡人、酒を飲みて」というタイトルで、石川高さんの竽と私のドゥドゥクで合わせてみました。
一生懸命吹いていますが、ネット購入のリードはあまり楽に音が出せるものではなくて苦労しました。柔らかい音色は出せていないですね。
その1か月後に、「神韻」公演でドゥドゥクを吹くために東京に来たMher MnatsakanyanさんにA管のリードを2本買わせていただき、少し楽に音が出るようになったものの、なにしろ他にドゥドゥクを吹く仲間もいませんし、あまり進展しないままに月日が過ぎていました。
転機となったのは2年前(2023年9月)、ベアータ・ムジカ・トキエンシスの古楽合唱を聴きに行った時に、辻康介さんとお話する中で、ドゥドゥクなら藤川星さんが演奏している、という話を聞き、さっそく藤川さんとFBでつながることができたこと。
この時ネット検索して「ドゥドゥク・ジャパン」の素敵なサイトを発見し、樽見ヤスタカさんや鈴木遣徒さんらがドゥドゥク奏者が盛んに日本で活動していることを知って、そういう時代になったんだ~と嬉しくなったりしていました。
さらに2024年9月に知り合った世見明さんの篳篥属楽器のルーツを探るご研究も刺激になりました。
そして今回2025年9月にドゥドゥクをメインとしたコンサートを企画。
アルメニア音楽とその音楽にお詳しい藤川星さんに曲目構成を考えていただきました。
打楽器を久田祐三さんにお願いし、宗教曲、子守歌、民謡から現代のグルジェフなど、さらに日本の雅楽曲にも絡めて演奏いたします。
ドゥドゥクは旋律を1人で吹く後ろにドローンを吹く奏者が1人~数人いるのが普通なので、複数奏者がいるからこそ可能な、循環呼吸のドローンにも挑戦します。
ドゥドゥク愛が高じてのコンサート。まだまだ成長途中ではありますが、皆さんにもドゥドゥクファンになっていただけたら嬉しいです
さて、今年2025年に始めた「葦の旅」ライブシリーズ。
3月に最初の「葦の旅#1サズとメイ with FUJI」、4月に「葦の旅#2西アジアの篳篥たち with立岩潤三」、7月に「葦の旅#3管子と篳篥 with 中島菜音」、そして今度9月が「葦の旅#4 ドゥドゥク~アルメニアから風に乗って with 藤川星、久田祐三」となります。
次の#5は11月に台湾のダブルリード楽器を黄雅農さんに演奏してもらう会を企画中。
まだまだ葦の旅は続きます😊



