委嘱曲のこと・・・山口恭子さん (7/22篳篥リサイタル)

7/22の篳篥リサイタルでは3曲を初演します。そのうち、山口恭子さんに作曲していただく篳篥と笙のデュオ曲の名は「発光素」。英語ではルシフェリンLuciferinという曲名です。
発光素=光を発する素? 蛍やイカなどの持つ光の素は、ルシフェラーゼという酵素によって酸化反応が起こって光るのだそうです。そういう光の「素」が篳篥と笙にもあって、化学反応が起きて光を発する…ようなイメージ。と聞いています。
蛍が光ってはすうっと消えたり、だんだん光が強くなって、ぴかぴかと強烈な光を発したり・・・ルシフェリンとルシフェラーゼが反応するように、笙と篳篥が反応して、音で光ったら・・・楽しみです。 笙と篳篥の音色を生かしてどんな演奏に仕上げられるか。挑戦します。
実は、山口恭子さんの曲を演奏させていただくのは二度目。2010年3月にニューヨークでのミュージック・フロム・ジャパン音楽祭でも演奏させていただきました。
その時の曲名は「根」。篳篥とチェロ、打楽器、ピアノの四重奏曲で、篳篥とチェロのポルタメントが、細い根のように絡み合う様を思わせる曲でした。
(「読売新聞」に載った、山口恭子「根」のリハーサル写真がありますので、ご覧ください。)
MFJ2010記事 発光素の楽譜
篳篥の朗々たる音とはあまりに違う曲に、主催の方が困惑されていたのを思い出します。それは篳篥の常識からは遠い音だったかもしれませんが、他のどの楽器でも出せない味わいのある音であったのも確かで、私自身、篳篥の新たな境地に気づいた曲でした。
 
デュッセルドルフに居を定めて久しい山口恭子さんですが、かつては大学で私と一緒にジャワガムランのサークルにいた仲間でした。ジャワガムランと雅楽はとても似ている、と思いますが、ジャワガムランに魅かれた彼女の音楽はやっぱりどこか雅楽と引き合うものがあるんじゃないか、とも思うのです。
大切に、初演させていただきます。

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