西域の篳篥のこと(7/22リサイタル)

写真 篳篥属6本(篳篥、大篳篥、メイ2、ドゥドゥク)7月22日に東京オペラシティリサイタルホールで行う篳篥リサイタルの副題は「西域の篳篥 日本の篳篥」となっています。西域にも篳篥があるの?どんな?というご質問をいただいています。
中国の西の方という意味で、西域という言葉を使わせていただいているのですが、篳篥は西域…中央アジアあたりが発祥の地と言われていて、そのあたりからシルクロードを通って日本に伝えられたようです。
アルメニアというカスピ海と黒海の間にある国では、大型の篳篥、「ドゥドゥクduduk」が紀元前から伝わり、国を代表する民俗楽器として大切にされていますから、そのあたりで生まれたのかもしれません。
また、トルコには「メイmey」、イランなどでは「バーラーバーンbalaban」と呼ばれる楽器もあり、どれも長さが篳篥の2倍かそれ以上あるような大きな楽器で、リードも幅4cmくらいはある大きなものを使っています。
写真は、私の持っている楽器を並べたものですが、上から「ドゥドゥク」「メイ(中)」「メイ(小)」「大篳篥」「篳篥」です。いつも雅楽で大きな音を出している篳篥が、一番小さくておもちゃみたいにも見えますね!
篳篥より大きいからさぞかしうるさい、大きな音がでるんでしょうね!と言われますが、いやいや、逆です。クラリネットに似た、優しい室内楽的な音で、ドゥドゥクやメイの郷愁を感じる音色はとても素敵です。
西に向かううち、違う風土の土地に入り、アンズから竹に素材が変わったり、その地に映えているヨシ(葦)でリードを作る内に音色が変わったりしたのかもしれません。
あるいは、甲高い篳篥のような音の方が、野外での舞楽の伴奏として必要だったのかもしれませんね。
今回は、篳篥の半オクターブ低いいつもの「大篳篥」だけでなく、1オクターブ低い「コントラ篳篥」をこの演奏会のために調整して、初お披露目します!!
篳篥をメイやドゥドゥクのサイズにした「コントラ篳篥」の音色は、さてどんな音でしょう?
西域から日本に上陸した篳篥は、もしかしたら西域の香りを今よりもっと色濃く持っていたかも。もしかしたら大篳篥みたいなサイズだったものが、だんだん小さいサイズばかり使われるようになったのかも。
雅楽がまだ今の雅楽に定まる前の、篳篥の音って、どんな音だったのかな、そんなことを考えながら演奏会を企画してみました。
 

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