”アウロス” サントリーホールサマーフェスティバルのために 

 今年のサントリーホールサマーフェスティバル2014のプロデューサーは、元国立劇場演出室長の木戸敏郎氏。
8月28日に37年ぶりに再演されるシュトックハウゼン作曲の「暦年」を演奏させていただけるのも楽しみですが、まずはその前、22日には「始原楽器の進行形」演奏会で、”アウロス”を吹くことになっています。
この演奏会、使用する楽器は箜篌、方響、排簫など、木戸氏が国立劇場時代に復元した楽器や、箜篌復元の手法を活かしたギリシャやエジプトのアングルハープといった”始原楽器”を聴かせるもの。
ギリシャならアウロス、と思いついたのでしょう、木戸さんから、「あなたならやってくれると思ってお願いするのだけれど・・・」とアウロス復元演奏を頼まれたのは2007年のこと。アウロスは実存せず壺絵などから想像するしかないので、アウロス=二本の葦笛を口にくわえて吹く楽器と捉えて、篳篥風ダブルリードと指穴のある管が一体化した楽器を作り、三輪眞弘氏の曲を演奏したのでした。
 今回の”アウロス”は、この篳篥風ダブルリード楽器の他に、コの字形切り出しシングルリード楽器も作ってみました。
複数本の葦を口に入れて吹くイタリアのラウネッダスがこのシングルリード楽器だからです。作ってみると、切り出しリードはリードの浮き具合を安定させるのがなかなか難しい。ラウネッダスや西アジアの切り出しリード楽器の材料はアルンド・ドネックスarundo donex = ダンチクで、篳篥リード材の葦とは微妙に性質の違う葦だからのようですが、なんとか使いこなせるのではないかと思っています。
日経新聞が8/11夕刊に演奏会について取り上げてくださいました。その中で、「アウロスが伝来して発展したのが雅楽の篳篥」と私が話したことになっていますが、それはちょっと飛躍しすぎです。篳篥は中央アジアあたりの楽器が伝来して日本の風土に合うように改良されたものです。中央アジアのダブルリード楽器はアウロスとも何か関係があったかもしれませんが、アウロスが何者かはっきりとはわからないので想像するしかありません。
写真は、試作したヨシ笛いろいろです。もう演奏会間近なのに、未だにノコギリと小刀とキリが手放せないなんて! 調整に励みます!
♪8月22日(金) 19:00 開演 サントリーホール(ブルーローズ)にて
♫川島素晴:アウロスイッチ(2014)[世界初演/サントリー芸術財団委嘱]ほか お楽しみに!
http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/

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