国際ダブルリード協会(IDRS)より、鵜殿ヨシ原保全を支持する檄文(「パイパース」2013.5月号より)

*管楽器専門月刊誌「パイパース」2013年5月号に掲載されたIDRS檄文を転載する許可をいただきましたので、下記に和訳と原文(英語)を記します。
日本のダブルリード奏者の皆さんへ
2013年3月7日
IDRS(国際ダブルリード協会)会長
Martin Schuring
篳篥(Hichiriki)のリードの良材の産地が失われる可能性があるという悲劇的なニュースに接して衝撃を受けている。1200年以上も前から、最高品質の篳篥のリード材は、京都から大阪へ流れる淀川の河川敷で収穫されてきた。しかし、高速道路の建設工事により、この絶対不可欠の資源が永久に失われようとしていると聞く。
雅楽演奏に欠かせない重要楽器である篳篥のリード資源が破壊される。その衝撃の深刻さは私たちにもよく理解できる。葦原の破壊は雅楽の演奏と日本の音楽文化に決定的なマイナス効果をもたらすであろう。
西洋音楽のあらゆるリード管楽器は(古代のバグパイプをも含めて)Cane(ケーン=葦=arundo donax)で作ったリードを使う。最上のリード・ケーンは、フランス・ヴァール地方の数か所でのみ育つ。世界中のリード楽器プレイヤーは皆が皆ヴァールに自生するケーンで作ったリードを使っていると言っても過言ではない。もし、このヴァール地域の資源が破壊され全滅すれば、西洋音楽文化に壊滅的影響を与えることだろう。私たちが淀川河川敷に育つ葦の危機を他人事とは思えないゆえんである。
雅楽は1200年以上の歴史と伝統を持つ芸術形式であり、日本の歴史と伝統そして文化の象徴でもある。そして完璧に保存されてきた雅楽とその熟練の演奏技能は日本独自のものであり何としてでも保全されなければならない。雅楽は1000年以上生き続けて来た保護すべき宝であり遺産である。高速道路工事で雅楽に必要不可欠の産地を破壊するのは聖像を破壊するに等しい悲劇である。
IDRSは、ダブルリード奏者、楽器メーカー、熱狂的ファンで構成される世界的規模の組織で、会員数は世界50ヶ国に及ぶ。私たちは日本の宮内庁、民族音楽専門家、雅楽の愛好家、ダブルリードの同志たちと連帯し、淀川河畔~篳篥の魂が宿っている~の保護と保存の要求を断固として支持する。(翻訳:小関馨子)
SAVE THE 鵜殿ヨシ・・・雅楽を未来へつなぐ・・・
http://www.save-udono.com
(署名用紙、パンフレットがダウンロードできます)

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